ウチのハダカの王様

スピード結婚した夫婦の話。生活をスタートさせたが・・・初めて知る夫の言動を書き留めている。

車の好みは譲れない

初めてデートした時


待ち合わせ場所に車で来た彼は


全ての窓を全開にあけて


待機していた…





私はサンサンと太陽の強い光が降り注ぐ夏空の下


日傘を差しながら待ち合わせ場所へ向かった





「お待たせしました」
「こちらも今来たところですよ」




ホンダの
車体が低い車だ







私の好きなタイプの車は
ハリアーやプラウドのような
車体が高くて大きいタイプ






付き合う前には必ず


どんな車に乗っているのか


聞くようにしていたが…






本当に


低い車体だ






出会いは8月の頭
夏だった






車で出掛けるのだから


エアコンをきかせてくれているのかと


誰もが思ったと思う






どこから見ても


どの窓も全開だ






「じゃ!行きますか!」と彼に言われた



 



暑いシートに座ろうと


その低い車体に腰を降ろした・・・


まだお尻がシートに届かない





まだまだしゃがむ必要がある



よいしょ!



声が出るほど


座るには腰を落とす必要がある




うわっ!低い!!




座席は


お尻が地面に


着いてしまいそう




私はカヌーに乗ったような気分だ





視界も


横を通る人の


お尻より下あたり…



すれ違う人が


私たちを見下ろしている…






低い…






そして






暑いっ!!!







彼は愛車を走らせた





風がビュービューあちこちから入ってきて


せっかくセットした私の髪の毛はボサボサ




車内の物がガタガタ音を鳴らし


声をはらないと


相手の声が聞こえない





「あのー!!
  窓閉めていいですか?
  エアコンつけません?」





「風がいい気持ちじゃん!
 それに・・・」 




「エアコン壊れててつかないんだ」







(((( ;°Д°))))
『ガーーーーーーン!!!』



8月のめちゃくちゃ暑い日のお昼



まるでオープンカーに乗っているかのよう



地面に近いせいもあり?



UVカット機能もなさそうな古い車の窓ガラス



私の白い肌を容赦なく焼き付ける








信号で止まるたびに


風が止まり


サンサンとした夏の太陽の暑さ




せっかくのお洒落着も


汗で色が変わるくらい濡れ始め


額や脇からも


汗がふきだしている






「この車は
 何歳の時に買ったの?」



「22,3歳の頃かな?
 だからもう18年くらい乗ってる
 このエンジンが気に入っててさ
 アクセル踏んだ時の走りがたまらないんだよね」





18年・・・・・


サビやキズがいっぱい


おまけにエアコンはつかない


こんな車のデートは初めてだった









私たちは
その後もデートを重ね
結婚した







結婚後



子供が出来ることを考え


車を買い換える提案をした


そう


ちょうどよく車検が近づいてきたからだ




「タイミングよく結婚もして
 家族も増えるわけだし
 赤ちゃんができたら
 こんなに低い車体に座らせたり
 抱っこしたりするの大変だし
 荷物も増えるし
 私も一人で運転して買い物に行かなきゃならなくなるし
 もっと使いやすい運転しやすい車に買い替えない?」





とにかく
今の車は
縦に長く
前も後ろも長い為に
女性にとって
車庫入れや縦列駐車がしづらい


自分がこの車を運転するなんて
ちょっと考えたくもなかった





「は?なんで?子供ができても乗れるよ」





あっさりと


そう買い換えを拒否る彼





「運転は慣れ!なっちゃんも慣れれば乗りこなせるよ」




独身の男友達に言われたかのような


他人事の発言にイラっとする





「いや、そりゃ慣れれば乗れるのかもしれないけど
 妊娠したらこの低い車の乗り降り大変だからさー」





妊娠でもしたら


臨月のお腹をかかえて


この低い車体を


乗り降りするのは


地獄だ




「子供が産まれたらベビーシートをつけて
 赤ちゃんを乗せてベルトしたり外したり
 オムツやベビーカーって荷物も増えるし
 片手で抱っこしながらドアを開けられる
 自動ドアのファミリーカーにしない?」






現実的に


この低い車体は無理



それを訴えた







しかし







「知らないの?この車はすげー容量入るんだよ!
 ゴルフバッグ4つ乗るからね!
 だからこの車を選んだんだから
 ベビーシートもベビーカーも乗りますよ!
 ドアもしっかり開くから乗り降りも大丈夫でしょ」





そう
この人はゴルフバッグの入る量で車を選ぶのだ







ドアもしっかり開く?!


乗り降り大丈夫?!!




これは


妊娠を


赤ちゃんを


近くで感じたことがないから言えるんだ







私は友人も姉も


妊婦時代から知っているし


姉が車の乗り降りが大変で


手を貸した事が何度もある




甥っ子を抱っこして


ベビーシートに乗せたり


荷物を抱えながらベビーカーを畳んだ経験もある


どんどん重たくなる赤ちゃんを


中腰になって抱っこして


ベビーシートに乗せるのはどれだけ大変な事か・・・






よりによって


普通の乗用車よりも低い車体の車


妊婦さんや赤ちゃんを乗せるなんて


どれだけ苦痛な事か・・・





全くわかっていない!!!!









そんな話をしつつも


買い物の帰り道





さすがに18年



エアコンだけじゃない


窓まで急に上がらなくなった




アパートについて
全開の窓を閉めようとすると
助手席の窓が
カタカタカタと音を鳴らし
1cmたりとも上がってこない




これはまずい!


今日の夜から雨の予報だ!!




「いい機会なんじゃない?
 結婚もしたし
 エアコンも付かないし

 窓も上がらなくなっちゃったし
 新しく買い換えようよ!」




「嫌だよ!!
 俺はこの車が気に入ってるの!!
 こんな良いエンジン今の車たちには無いんだよ!?
 こんな良い走りをしてくれる車
 他にないんだよ!
 こいつのエンジンが止まるまでは買い替えないよ!
 今からホンダに行ってくる!!」





彼は翌日ゴルフもあり・・・


慌ててホンダさんへ車の修理に出掛けた









ホンダの担当営業さん



「この度はご結婚おめでとうございます!
 そうですよ!奥様の言う通り
 やはり奥様も運転しやすい車に買い替えはいかがですか?」


なんて営業されていたが



「だってさー
 こんな良いエンジン今の売ってる車に同じの付いてるの?
 ついてないっしょ?」



営業さんもタジタジ・・・


「そうですねー今はエコな車を皆さんお買い求めですからね」



「そうよ!今はエコ車!
 こんなに傷だらけで古い車に
 ハイオク入れてるんですよ?!垂れ流しですよね??」



「垂れ流し言うな!!エコ車なんて走りが悪そう!
 オレの車は
 まだまだ乗れる!アクセル踏んだ時の走りが違うんだ!」






どこか高速を乗るならわかるが


この辺りの住宅地


アパートからスーパーへの往復


クリーニングまでもハイオクガソリン使って



本当にこれこそが無駄使い




青信号で良い走りを見せても


数十メートル走ればすぐに信号のある交差点



こんな狭いところで


『走りが違う?』


そんなものは必要がない












なぜ


家族のために


変えられないんだろう




ホンダの営業さんも言ってたじゃない?


結婚すると家族も増えるし


奥さんが運転するし


皆さん買い替えるタイミングですね、て




と言うと


それは営業されてるだけだ!と言う


車を買ってほしくて誰にでも言ってるんだ、と言う







私はそうは思わない


男性は結婚を機に


安心安全という気持ちに変わり


奥さんと子供のことを考えるようになるんだ






誰かさんみたいに


いつまでも独身時代の趣味で買った古い


いつエンジンが止まるかわからない車を


妻に運転させる夫は


いない!








しまいには


ローンを抱えたくない


とまで言い出した…





新車を乗りながら


毎月支払っているうちに


支払いが終わるのに・・・・







彼は


携帯電話は2年毎に新しい機種に買い替えている


どうして車は新しく買い替えないのか


携帯電話も毎月の支払いで2年ローンを組まされている


そのまま古い携帯を使い続けてもいいのだが


彼は支払いが済む2年毎に


また新しく2年のローンを組み


新しい携帯を手にしている





携帯は古くても命に関係ないが



車は



高速運転中に何かあったら???





大切な妻や子供



本当に平気なのか??






お気に入りは独身時代に18年使い続けた




次は



家族の為にも



新しいお気に入りを探してもらえないだろうか・・・











彼は


のちの車検で



エアコン修理


窓の修理


タイヤ全ての交換




何十万の支払いにより


18年の歳月を更新した・・・・・・







その何十万円


新車の支払いに充てていたら・・・・















私は断固として


未だに


あの車を運転せずに


普通のママチャリで買い物をしている・・・






あんなに実家の車を使って買い物していたのに・・・






なんだか 悔しくもある・・・









この人は


いつまで


独身貴族のままなんだろう…



私たちは本当に結婚したの?


同棲してるだけ????