ウチのハダカの王様

スピード結婚した夫婦の話。生活をスタートさせたが・・・初めて知る夫の言動を書き留めている。

いつもおひとり様の扇風機

すっかり暑くなって夏本番の暑さだ



朝から汗だくで家事をこなし


着替えたばかりの服は汗でびっしょり




珍しくスーツを着ている旦那さん


テレワークでダラダラ生活も


今日はご出勤らしい






私は


汗だくで家事をこなし


旦那さんが出発したら


朝ごはんを食べて


窓全開で掃除機をかける身としては


今エアコンをかけてしまうと


止めて窓全開にして


掃除機をかけ


汗だくになる覚悟がゆるむ・・・・




でも、旦那さんはこの暑い中


肌着の上に半袖ワイシャツ
長ズボン
靴下


見ていても暑い・・・



「うん、スイッチ入れていいよ」



彼の為に賛成することにした




朝の時間は短いもので


あっという間にご飯を食べ終わった旦那さんは


洗面所で歯磨きをしている




私は洗濯物を持ってリビングへ入ると


扇風機が


誰もいない食卓へ向かって


ブンブン風を送り続けている




「誰もいないのに扇風機もったいない!」




そう言ってスイッチを消すと




「なっちゃんも台所の流し台の電気もったいないよ」




私の声にかぶせるように言ってくる





振り向くと


旦那さんに朝食を用意した時につけた電気が


消されていた





奥様にはあるあるの話だと思うが



朝食を作って


食べさせている間


洗い物をしたり


準備中にこぼれた食材をひろったりと



そんな作業中



遠くでピー、ピー、ピー、と


洗濯物が終わった合図がなれば


洗濯物を取りに行く





そのたびに


ウチの旦那さんは


もったいない、と台所の流し台の上の電気を消しに来る




今住んでる家は賃貸マンションで


台所とダイニングは同じ空間で


台所の流しの上につけた電気はとても明るい為に


朝はその電気だけつけていれば


部屋の電気をつけなくてもいいくらいなのだ




だから


ダイニングに人がいるときは


そのまま流し台の上の電気をつけたままにすることがある




主婦はすぐに定位置へ戻るのだから


つけたり消したり


それこそ無駄な気がしている





それよりも


誰もいないところで


扇風機が


一箇所に向かって


ブンブン風を送っている事の方がもったいないと思う




ましてや


あちこち家事をして汗だくの私が


そんな誰もいないところで


扇風機が壁に向かって一直線に風を送っている姿を見せられたら


イラっとしてしまうのは当然だ・・・



せめて首を振って


部屋中に風を送ってくれ・・・










私が夕飯の支度をしていると


彼が優しく


「なっちゃん暑いでしょ?!」と


扇風機を台所へ向けて置いてくれる


「ありがとう!」



涼しくて嬉しいのだが


ガス代の火が


扇風機の風で消えてしまう・・・





テーブルに座って携帯をいじっている旦那さんに


「暑いでしょ?使っていいよ!」と


私は旦那さんに扇風機を向けて置いた





少し離れたところから


旦那さんの応援する声が聞こえてきた



ん???




台所から離れて


リビングを見ると


さっきまですぐ後ろのテーブルに座っていた旦那さんが


リビングに寝転んで


オリンピックを観ながら熱くなっていた




ふと


ダイニングテーブルを見ると


扇風機が


一直線に


誰もいない壁に向かって


全力で風を送っていた




「ねー!扇風機ひとりで回ってるよ?!」




テレビに夢中で


私の声が届いていない・・・





料理してるときは


火を使うし


窓が近くにあるわけじゃないから


めちゃくちゃ暑い



汗だくになって料理しているのに




後ろで


誰もいない壁に向かって


一直線に風を送る扇風機





旦那さんも暑いだろうからと返したのに






だったら


返してーーーー