ウチのハダカの王様

スピード結婚した夫婦の話。生活をスタートさせたが・・・初めて知る夫の言動を書き留めている。

ご近所へのご挨拶

結婚式を終え


それは突如やってきた・・・・




『翌月のゴールデンウィークに
 親戚やご近所さんへの挨拶回りに行ってほしいの』






彼のお義母さんからの電話だった





『スーツを着て
 もちろん、なっちゃんもワンピースかスーツか
 ちゃんとした服装で来てね
 あとで手土産のリストLINEするからよろしくね!』





ある程度の親戚関係は式に参列していた為


わざわざ東京から


『挨拶回り』をするとは


どれだけの身近な人なんだろうか?






早速お義母さんから手土産リストが送られてきた






え?!13個?!






私は数字を見て驚いた



親戚はそこまで聞いたことがないし


ご近所といっても


婚約した時に


一度彼の実家までご挨拶に伺ったが


周りは畑と山しかなかった・・・


13個とは???




「手土産に13個も用意するの?!」


私が彼に聞くと
さすがにその数字に彼も驚いていた





後日
丸の内へ
東京らしい手土産を選びに出掛けた



東京で流行の品物を持って行っても
分かりはしない・・・


高級菓子は箱が小さく、量も少ない
田舎の人が受け取って
「こんな小さいもん持ってきた」と思われても損だ・・・


彼の実家まで
片道に丸一日かかってしまう
生菓子ではなく
日持ちするものがいいだろう・・・




彼も田舎出身なせいもあり
小さい箱や数が入っていないものより
大きな箱にぎっしり入っているものを好む




なんとか
ほどよい値段で
大きい箱にぎっしり入っている洋菓子をゲットした




次は私のワンピースだ



独身時代に着ていたのは
ご挨拶・・・というには不向きなデザイン


紺色の露出が少ない控えめなワンピースを購入




いざ2泊3日の『嫁、実家への巻』







ゴールデンウィークというのもあり
東京駅は、ものすごい人混み



2つの電車を見送り


来た新幹線に乗り込んだ



新幹線を降りて
そこから電車で3時間



やっと最寄りの駅に到着
そこから車で40分
実家に到着したのは真っ暗な9時過ぎだ







翌朝


郵送しておいた手土産の仕分け


事前に予約入れていた黒と赤の漆塗りされたお膳が


次々と運ばれてきて


大きな鯛がドドドーン!と配達された




どこかで見たことがある風景


NHKの朝ドラか?





お着替えしたのに準備だけで汗だくだ






お昼の11時前になると
次から次へと親戚関係が集まってきた



式にお会いした人もいるし
初対面の方もいた




なっちゃん!どんどんお茶お配りして!


なっちゃん!ほらおビールお注ぎして!




誰がどなたなのかもわからないまま


次から次へと


ビールとお茶をお注ぎして回る





「なっちゃん!!」





部屋の隅で彼が手招きしている


テーブルの上には
私たちが郵送した手土産の13箱


それと


お義母さんたちが『実家から』と用意した


ご挨拶の品物


というのが積み上げられていた




「なっちゃん、これをね、こうして風呂敷巻いて
 ご挨拶したら、こうして風呂敷をとって
 こうしてお相手に向けてお渡ししてちょうだいね」




出ました!


風呂敷!!!





私たちのは東京土産としてお渡しして
風呂敷に包んで渡すのはご挨拶の品物






東京土産っている???





大量の箱詰め物を
小分けの紙袋に入れて
車に詰めこんだ



「さぁて、いってらっしゃい!
 明るい時間に配っちゃいましょ!」



お義母さんに
元気よく玄関から背中を押され



私たち夫婦は
お義父さんの運転で車を走らせた





実家の周りは
田畑や山


車で数分走らせては
「ここだ」とお義父さんの声に
お菓子を準備して玄関へ向かった



「ごめんくださーい!」
お義父さんが大きく声をかけるが
何一つ返事がない



じゃ、次



また車を走らせ
次のお宅へ
「ごめんくださーい!」


静まり返っている




いくつか車を走らせ
ご近所?というご近所へ挨拶に回った



初めて
「はーい!」と返事が聞こえた



60代くらいの女性だ


「どちら様かしら??」


「うちの長男とその嫁です、先月結婚しましてー」



女性はポカーンとしながらも


「あ!あのご長男?あらー久しぶりねー!」



気が付いてくれたようだが・・・




「小っちゃい頃、うちの子とよく遊んでたわよね!」






え?そんな昔の知り合い???






もちろんのこと
彼はこの女性が誰なのか記憶にないらしい



その小っちゃい頃に一緒に遊んだであろう息子さんも
現在は東京で働いているとか・・・





私は何一つご縁がないが
よろしくお願いします、と丁重にご挨拶し
お義母さんから伝授されたやり方で、あとにした




もう一軒は
耳が遠い90代の女性が椅子に座ったまま
廊下の窓をあけて対応してくれたが
耳が遠過ぎて
話もできなかった





最後に寄ったお宅は
70代の男性で
ゴールデンウィークだから出掛けて帰ってこない、との事だった





実際、13個中
ご挨拶してお渡し出来たのは3軒




何度か


また最初のお宅から、と


車を走らせて回ってみたものの


不在だった







実家に戻ると
式の写真が配られていて
宴会が盛り上がっていた




お義母さんの一声で
弟さんが
式当日のビデオを再生




懐かしい


遠い昔にみえた






最後に二人からひとこと!!!



と言われてしまい




心の準備もない
頭が真っ白なまま


みんなの視線を釘づけにされた







彼から


そして私からご挨拶し


「今後とも二人をどうぞよろしくお願い致します」と


お義父さんが締めくくり




『親戚&ご近所へのご挨拶』が



無事? 終了した








たくさんの手土産を持参し


時間と交通費をかけて帰省したこの度のイベント





 
私は、ともかくとして


地元の彼すら覚えが無い


遠い記憶


遠いご近所さんたちへのご挨拶





本当に必要だったのだろうか???







車を走らせてまで回ったのは


ご近所というのか???








わざわざ帰省させてまでも
息子の結婚報告をする





私の方では考えられない








私だって小さい頃遊んだ友達はいる




鍵っ子で鍵を忘れて家に入れず


お母さんが帰ってくるまでお世話になったご近所さん




小さい頃


一緒によく旅行に行った家族ぐるみで仲が良かったご近所さん







彼の実家で回ってきた
遠いご近所さんより
よほど近くに住んでいるご近所さんはいる




しかし


うちは特別


報告していないし


本当にお隣さんなどのご近所さんにすら


「娘の結婚報告」などしていない






この話をお義母さんから言われたときに



私の母は


「そんなご近所中に夫婦で挨拶したら
 お祝いの催促をしてるみたいじゃないの
 仲がいいお付き合いのある人にはハガキをだして
 ご近所さんには聞かれたら話せばいいのよ」




私も同感である







これから東京から田舎へ戻り
昔のようにこちらで生活します、というなら
まだご挨拶も
わからなくない





しかし





これからも
東京で生活するのだから





この次





いつ





このご近所さんたちと




お会いする日がくるのか?









田舎の風習はわからないが・・・



引き継ぐ事と


必要性がないものがある







今回のような


顔も互いに覚えていない者同士のご挨拶は



ここまで遠い田舎へ帰省してまでも


やる必要性があったのか












帰りの新幹線で


私は彼に言った






将来の


私の子供たちまで


させるつもりはないからね








この先


子供が産まれたら


また


どんな集合がかかるのか


怖くてたまらない・・・・