ウチのハダカの王様

スピード結婚した夫婦の話。生活をスタートさせたが・・・初めて知る夫の言動を書き留めている。

私の想像以上

スピード婚の前に
一週間のメール交換、寝る前の電話で距離を縮めた二人


『オレの趣味はゴルフ』



私の父もゴルフ好きで、母が苦労したことを覚えている
・毎週末ゴルフへ出かけてほとんど家にいない
・子供が熱を出しても泊まりゴルフへ行ってしまう
・ボーナスが入ると新しいクラブを買ってくる


そして、以前通っていた会社の上司がゴルフ好きで
ゴルフと言っては別の女性と会っている、という不倫話は有名だった


『ゴルフ好きにはろくな男がいない』


そんな風に感じている所があったのだ


少し距離を縮めた私は
それとなく、彼に『ゴルフ好きはあまり良い印象がもてない』と話をしてみた


私の父のサンプル話をしてみた


「えー!?まず、毎週なんてラウンド行かないし(笑)」
「子供が熱なんて出したら行くわけないよっ!!」
「クラブなんて最近いつ買ったかな?(笑)買ったとしても中古品だよ!」
「不倫?!ないない(笑)そんな時間あるならゴルフ練習したいもん!」


どこかの参考書に載っていたかのような正しい返答


もちろん、ゴルフ好き男性全員がそう、とは言わないが
私の知識、経験から可能性は高いと思っているのだ


付き合っているときも打ちっぱなしの練習に行ったことはあったが
普通のデートをして、あっという間に結婚した私たち



ついに妻となって現実を知ることに・・・


タンスの引き出し一面にゴルフシャツ!!
赤、青、黄色、白、柄物・・・
ゴルフショップより豊富な品揃え


一週間に4回
仕事から帰り、夕飯を済ませると
「練習に行ってきます!」と元気いっぱいに出掛けて行く
月に2回
「誘われたからラウンド行ってくるね!お留守番しててね!」と
嬉しそうに朝一に出掛けて行く


結婚して初めてのボーナス
「俺はクラブ2本買ってきちゃった、なっちゃん何か欲しい服とかあるー?」




そうです、あの時想像していた事が早速起きているんです


一つだけ異なるとしたら
「なっちゃんも一緒に行く?」これが毎回ついてくる


夏は暑いし、冬は寒い 何が楽しくて付いていくのか?



結婚後、初めて私が怒ったのは
『相談も無しに初めてのボーナスでクラブを2本も買ってきたこと』だ


独身貴族のままでいるウチの王様は
家族をもった、これからの出産費用など
出費が増える事を理解しているのだろうか


酒が飲めないので飲みをして来ない
麻雀、パチンコ賭け事しない
そんなストレスを発散できない彼だから
大好きなゴルフをやるな、とは言わない


でも、結婚した、ということを思い出して欲しい



仕事から早く帰宅して
早く練習に行きたいからと
妻が愛情込めて、何種類も作り
少々テーブルへ出遅れた夕飯に文句を言う


「まだ?早くー!こんなたくさん作らなくていいよー」


優しく言っているが
決して新婚の旦那が言うラブラブなやつでは無い
練習する時間が少なくなることにイライラしているのだ




ゴルフは練習するのも
ラウンドに行くのも
やはりお金がかかるもの
衣装や道具ひとつひとつの値段も高い


余裕がある大人のスポーツだ


ウチは余裕なんて無い


でも、独身だった頃からのゴルフメンバーからは
ガンガンお誘いの連絡が入るようだ




子供欲しいんだよね?
年齢的にも早く欲しいんだよね?
お腹に宿ったら10ヶ月で出てくるんだよ?
月に何度も通院するし、出産が近くなれば赤ちゃんグッズも買わなきゃならない
いざ出産となれば50万はポンとお支払い
産まれてきたら人を育てるお金が必要になる


「子供をつくる」ということは、そういうことなんだ、と言うこと
私は姉が居るから全て知っているし、妹叔母としての体験もしてきた




お金の計画は持っていないようだ


結婚して、子供が欲しいならば
その必要な未来のお金を
もっと大切にしてほしい




趣味が優先になってしまう
何も知らずに大きくなった王様

そのじゃんけんは無理/部屋探しの条件

2人で暮らす家探し
あれがいい!こっちもいい!って少し幸せな時間でもある
年齢的には、すぐにでも家を買ってローンを組むのが私の希望だが
スピード婚した私たちには、取りあえず2年だけでも一緒に暮らす家を探そう!と
アパートマンションを探し歩いた


じゃんけんで
最初はグー!という掛け声は納得できる


家探しの条件で
 ・駅から5分以内
 ・鉄筋のマンションかアパート
 ・2LDKか3LDK
 ・側に海や川がない土地にある物件
 ・駐車場、管理費込みで9万以下


こんな声は、どうだろう


既に勝てる気がしない



もともと都内に住む事は考えていないが
都内から30分の便利な私の実家付近でも
この条件で出せるアイテムは1件も無い


大手不動産の人も苦笑いで
「都内からどのくらい離れても大丈夫ですか?」
と尋ねてくる


一生住むわけでは、無いけれど
都内に勤務する彼、実家付近でお仕事している私としたら
その付近で探したい


そして何よりも
年齢的にもすぐに赤ちゃんが欲しいからスピード婚した理由でもある私としては
何かあった時の為にも実家から、そう離れない場所で探したかった


総合的に考えても
そんな彼の条件を満たした案件は見つからず



そうだ!俺がお世話になっている不動産に行こう!と
その市内が詳しい不動産を訪れることになった
いくつか彼の希望に叶う物件を案内してくれた
でも、私の希望の実家からはとても離れてしまう


赤ちゃんが出来た時のこと考えたら
実家が近い方がいいし、平日私独りで買い出しに行ったり病院に通ったりする
私の知っている実家から3駅以内で探しませんか?


私の希望は、わかった、わかった、と言ってくれるけど


『一桁の家賃がないから無理!』



彼から聞いている年収なら大丈夫と思って結婚した私だが


ファミリーで暮らせる広さ
駅近
都内からそう離れていない土地
一桁で住める賃貸


そこに拘っていたら
いつになっても見つからない


これから家族が増えていく
10万越えの家賃は、覚悟の上
それが嫁をもらった男の――――
と、思っていた


周囲の友人や姉の旦那、自分の父親にも相談した
40過ぎまで独身だったんだから貯金あるだろ?
結婚が遅かったんだから、すぐにでも家を買うくらいの気持ちがなくちゃ
上司や友人とかと話したりして男は大人の男に成長していくものなんだよ
家を買って二人の人生をスタートさせる、これが大黒柱の最初の買い物だ!
俺が「男とは」て教えてあげようか?


そんな男らしい意見ばかり・・・


姉の旦那も、当時は20代半ばだったが
2年実家近くのアパートで新婚生活を送り、子供が産まれ
実家から県内30分離れた土地に大きな一軒家を買ったのだ


私の中で、夫とは、そういうものなのだ、と思い込んでいただけに
貯蓄は無い、駅から歩くのは嫌だ、毎月二桁家賃なんてありえない!
と言い続ける彼に不安を持ってしまった


みんな、結婚した時は初めての事
子供が出来た時も初めての事
知らないのは普通の事なんじゃない?
と考え直した


でも、頭をよぎる・・・


彼は何も知らないまま大きくなった王様

あの時から・・・

出逢って一週間メールだけのやり取りから始まった
『付き合ってください!』
久しぶりにハッキリと伝えられた初めてのデートの帰り
自分の親を大事にする、遠く離れた故郷が大好きな彼は
きっと自分の親も大事にしてくれる
優しくて、いざとなる時に決断力がある40歳を数年過ぎた年上の彼を好きになった


その3ヶ月後
『結納』


そして
いつの間にか
式に着るウェディングドレスを試着する日々
テーブルクロスは何色?
ここのテーブルに花はいる?
式当日までに決めなきゃならないことや
作成する新郎新婦の作業など、やることが沢山あって
デートもせずに会場の往復で毎日が追われていた


憧れていた式場
長く引きずる純白ドレス
姫系の豪華ティアラ
お色直しのドレス選び


夢みていた結婚式に近づこうとする私のチョイスに
いいね!いいね!と賛同してくれる彼
安心すらあった


あの一言を聞くまでは…



『引き出物はさー  参列者ひとり1セット配るよね』



ホテルのスタッフさんが慌ててフォローしてくれた
「お住まいの土地にもよりますが、当ホテルご利用の新郎新婦様は
  参列者代表の方に1セットお配りしていますよ」


「私が参列してきた友人の式だって親戚の式だって
  代表者に1セットだったよ?」


「じゃー遠くから来た夫婦や家族で来てる人は代表者以外、手ぶらで帰らせるのかよ!」


新婦の私も、私の両親も、ホテル側と同意見だ
あなたの故郷は、各個人が配られるシステムなの?!


そんな風に、『手ぶらで帰らせる』なんて今まで思ったことが無かった
『私には渡してくれないの?』と口にした人を見たことがないからだ
彼だって何度も式に参列してきた経験があるというのに・・・
私はすぐに席を外し、両親へ連絡をとった
「彼は自信満々に言ってくる、私は間違っているの?」
「きっと何も知らないんだろう、なぜ代表者だけに渡すのか説明してやりなさい」


参列者ひとりに1セット渡していたら出費が膨大に・・・
夫婦で来てくれてる人に同じバームクーヘン丸ごとを2個渡すのか?!
引き出物ギフトカタログなんて、家に同じ本何冊もいらないし・・・
子連れの幼稚園児にもカタログを配るのか?


40年以上、生きてきた男が
自身満々に俺は間違っていない!とムキになっている彼が
納得してくれるんだろうか?


田舎の両親に電話して確認をしてもらった


「参列者の代表の方に1セットでいいのよ」


「そうなの?」と、しぶしぶ電話を切っていた


私にとって、そして私の両親にとっても
これが最初の衝撃だった


彼は何も知らずに大きくなった王様